有床診療所のモデルから始める(無料登録)か、自分の図面を描いてください。有床診療所の病棟の階の直通階段の数は、医療法施行規則と建築基準法施行令の2つが決めています。片方はエレベーターがあれば1つでよいとし、もう片方は病室の広さで2つを求めます。この記事では、模擬の19床の病棟の階で、病室の広さと階段・エレベーターをAIに読んでもらい、2つの決まりと比べました。病室から階段までの歩行距離も測りました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。
1. 2つの決まり
医療法施行規則第16条第1項は、病院・診療所の構造設備の基準です。
- 第8号(直通階段)。 2階以上の階に病室があれば、患者が使う屋内の直通階段を2つ以上。ただし、患者が使うエレベーターがあるもの、または2階以上の各階の病室の床面積の合計が50 m²(特定主要構造部が耐火構造か、主要構造部が不燃材料なら100 m²)以下のものは、1つでよい。
- 第10号。 3階以上の階に病室があれば、避難階段を2つ以上(第8号の直通階段を避難階段の構造にすれば、その数に入る)。この病棟の階は2階なので、当たりません。
- 第2項。 このほかの構造設備の基準は、建築基準法に基づく政令(施行令)による。
建築基準法施行令は、避難階以外の階の直通階段を決めています。
- 第121条第1項第4号。 病院・診療所の階で、その階の病室の床面積の合計が50 m²を超えるものは、避難階か地上に通ずる2つ以上の直通階段を設ける。エレベーターの例外はありません。
- 第121条第2項。 主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら、50 m²は100 m²。
- 第121条第4項。 階数3以下で延べ面積200 m²未満の建築物で、階段の部分を区画したものの階は除かれます。この病棟の階は、それだけで33.8 × 11.6 m(392.08 m²)あるので当たりません。
- 第120条(歩行距離)。 患者の収容施設がある診療所は、建築基準法別表第一(い)欄(二)項の用途です。その病室から直通階段までの歩行距離は、主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら50 m以下、それ以外は30 m以下です。
線を2倍にする条件は、少し違います。医療法施行規則は耐火構造(か不燃材料)、施行令は準耐火構造(か不燃材料)です。
2. 病棟の階の病室と、階段の数
模擬の病棟の階は33.8 × 11.6 mの2階です。中廊下1.8 mの北に4床室3室・2床室2室・ナースステーション・処置室・階段、南に個室3室・デイルーム・浴室・便所・エレベーターなどがあります(有床診療所の病室と廊下の記事と同じモデル)。AIは get_space で階段とエレベーターを数え、check_space の areaPerPerson で、病室の区画(壁の内側)の広さとベッドの数を読みました。
| 病室 | ベッド | 広さ |
|---|---|---|
| 病室A・B・C(4床室) | 4床ずつ | 23.92 m²ずつ |
| 病室D・E(2床室) | 2床ずつ | 15.64 m²ずつ |
| 個室1・2・3 | 1床ずつ | 11.04 m²ずつ |
| 合計 | 19床 | 136.16 m² |
階段は東の端に1つ、エレベーターは1台です(check_space の指摘は0件)。
| 決まり | この階で | 階段1つで足りるか |
|---|---|---|
| 医療法施行規則 第16条第1項第8号 | 患者が使うエレベーターが1台 | 足りる |
| 施行令 第121条第1項第4号・第2項 | 病室の合計136.16 m²。線は50 m²、準耐火構造などなら100 m² | 足りない。どちらの構造でも2つ要る |
医療法施行規則だけを見ると、エレベーターがあるので、階段は1つでよく見えます。しかし同じ規則の第2項のとおり施行令も守る必要があり、施行令にはエレベーターの例外がありません。病室の合計は、準耐火構造などの線100 m²も36.16 m²超えます。
3. 階段までの歩行距離
AIは check_space の walkingDistance で、病室のどの点からでも、ベッドを回って階段の縁まで歩く最短の距離を測りました。施行令の直通階段は屋内のものに限られていないので、2つ目を屋外階段にする案も測りました。屋外階段は、廊下の西の端の扉(モデルの入口)の外に置くとして、その扉までを測っています。
| 病室 | 東の階段だけ | 近いほうの階段(東の階段か西の屋外階段) |
|---|---|---|
| 病室A | 36.57 m | 8.77 m(西) |
| 病室B | 31.27 m | 14.07 m(西) |
| 病室C | 25.97 m | 19.37 m(西) |
| 病室D | 20.31 m | 20.31 m(東) |
| 病室E | 16.81 m | 16.81 m(東) |
| 個室1 | 36.17 m | 5.79 m(西) |
| 個室2 | 33.67 m | 8.24 m(西) |
| 個室3 | 31.18 m | 10.74 m(西) |
- 東の階段1つでも、準耐火構造などなら、どの病室も50 m以内です。それ以外の構造では、病室A・B、個室1・2・3の5室が30 mを超えます。
- 西に屋外階段を足すと、どの病室からも、近いほうの階段まで20.31 m以内です。30 mの線にも入ります。
- 屋内の直通階段は、医療法施行規則ではエレベーターがあるので東の1つでよく、施行令の2つ目を屋外階段で足す形です。
4. 使い方と、分からないこと
- 広さは区画から。 区画は壁の内側(内法)に描いています。医療法施行規則の病室の広さは内法ですが、建築基準法の床面積は壁の中心線で測るので、施行令の病室の合計はこれより広くなります。どちらで測っても、線の100 m²を超えます。
- 2つ目の階段は案です。 西の屋外階段は、廊下の端の扉の外に置くとして、扉までを測りました。屋外階段の構造(施行令第123条第2項の屋外避難階段にするかなど)と、敷地に置けるかは確かめていません。
- 見ていないもの。 この記事では、次のものを確かめていません。 - 2つの階段への経路の重複区間(第121条第3項) - 階段の構造(医療法施行規則第16条第1項第9号:階段と踊場の幅は内法1.2 m以上、けあげ0.2 m以下、踏面0.24 m以上、手すり。モデルの階段は幅1.2 mで描いています) - 仕上げを準不燃材料にしたときの歩行距離の10 mの加算(第120条第2項) - 1階とほかの階、消防法の避難器具
- 判断するのは。 構造と階段の数・位置は、設計者と建築確認の機関が判断します。有床診療所の構造設備は、使う前に都道府県知事の検査を受けます(医療法第27条)。AIの数字は、検討の下書きです。
使った道具
get_space:病棟の階の階段・エレベーター・病室を読むcheck_space:病室の広さとベッドの数(areaPerPerson)、病室から階段までの歩行距離(walkingDistance)、問題がないかget_view_image:歩行経路を平面図に描く(routes)



