物流拠点のモデルを開く(登録なしで開けます。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。荷主には、トラックの荷待ちと荷役作業等の時間を計2時間以内にし、2時間以内になったら1時間以内を目標にすることが求められています(経済産業省・農林水産省・国土交通省「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」、2023年6月)。同じガイドラインは、トラックの予約受付システムの導入と、フォークリフトや作業員を適正な数だけ置くことも勧めています。この記事では、模擬の物流拠点で、AIが保存されている平日の朝のシナリオを読み、トラックが着いてから荷下ろしが始まるまでの時間を、受付の人数・開けるドックの数・フォークリフトの台数・予約で比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。
1. 物流拠点と朝のトラック
模擬の物流拠点(事務所棟、倉庫2棟と予備倉庫、10か所のドックのあるトラックヤード)の、保存されている平日の朝のシナリオです。
- 9:00〜10:00に、トラックが1時間に10台、9:15〜9:45は22台の割合で不規則に着きます(20回の平均で18.2台)。
- トラックは空いている待機場(8台分)に止まり、運転手が事務所の受付で手続きをします(受付2人、2.5〜7分、いちばん多いのは4分)。
- 開いているドック(10か所のうち8か所)が空くとそこにつけ、フォークリフト(8台、入荷したパレットの棚入れも1時間に30枚)が荷下ろしをします(10〜25分、いちばん多いのは15分)。片付けに2分かけて出ます。
- 時間は仮定の値です。数えていないもの:運転手の歩き、構内の車の流れ、故障、交代、費用。
AIは保存されているシナリオを読み(list_process_scenarios)、トラックの手順はそのままに、荷下ろしが始まるまでを受付・ドック・フォークリフトの3つに分けて読めるようにし、予約で到着をならすパラメータ(reserved)を加え、10:00までに着いたトラックがすべて出るまで(13:00まで)走らせる写しを保存しました(put_process_scenario、元のシナリオはそのまま)。数えるのは、保存されているシナリオと同じく9:10以降に着いたトラックです。そのうえで sweep_process_parameters で、組み合わせごとに同じ乱数の20回を走らせました。
2. いまの時間
いま(受付2人・ドック8か所・フォークリフト8台)は、トラックが着いてから荷下ろしが始まるまで平均8.3分です(95%区間6.6〜10.0分)。受付で7.1分(列で待つのは平均2.6分、いちばん長くて7.0分、残りは手続き)、ドックで0.6分、フォークリフトを待つのは0.4分です。着いてから出るまでは27.2分で、ガイドラインの2時間(目標1時間)よりずっと短い拠点です。それでも、どこで待っているかは、条件を変えると分かります。
3. 受付の人数と、開けるドックの数
着いてから荷下ろしが始まるまで:
| 受付 | ドック6か所 | ドック8か所(いま) | ドック10か所 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 23.6分 | 23.6分 | 23.6分 |
| 2人(いま) | 10.7分 | 8.3分 | 8.2分 |
| 3人 | 10.0分 | 7.2分 | 7.0分 |
- 受付が1人だと、ドックの数によらず23.6分で、いまより15.3分(95%区間12.0〜18.6分)長くなります。受付の列で平均18.4分、いちばん長くて34.3分待ちます。受付を待つトラックはいちばん多い時に平均8.1台で、待機場(8台分)が埋まります。
- ドックを6か所にすると10.7分(いまより2.4分長い、95%区間1.4〜3.4分)。受付を3人にしても10.0分で、待ちは受付からドックに移ります(ドックを待つ時間は平均4.2分)。
- ドックを10か所にしても8.2分で、いまとの差は誤差の範囲です。
4. フォークリフトの台数
| フォークリフト | 受付2人(いま) | 受付1人 |
|---|---|---|
| 4台 | 22.5分 | 26.5分 |
| 6台 | 11.1分 | 23.7分 |
| 8台(いま) | 8.3分 | 23.6分 |
- フォークリフトを6台にすると11.1分(いまより2.7分長い)、4台にすると22.5分で、フォークリフトが来るまで平均11.7分待ちます。フォークリフトは棚入れもするので、台数を減らすとトラックの待ちに出ます。
- 受付が1人なら、6台でも8台でもほとんど変わりません(23.7分と23.6分)。
5. 予約で到着をならす
1時間のトラックの数は同じまま、9:15〜9:45の集中を予約でならしました(着く時刻は不規則のまま)。着いてから荷下ろしが始まるまで:
| 9:15〜9:45の到着 | 予約なし | 予約でならす |
|---|---|---|
| 1時間に22台(いま) | 8.3分 | 7.4分 |
| 1時間に30台 | 12.4分 | 9.7分 |
- いまの朝では、ならしても1.0分(95%区間0.4〜1.5分)短くなるだけです。
- ピークが1時間に30台になると12.4分で、ならすと9.7分です。
- 受付が1人のままでは、ならしても21.2分です。
6. この数字の使い方
- 入場ゲートの記録から15分ごとのトラックの数を、受付の手続きと荷下ろしの時間とともに、自分の拠点の値でAIに伝えてください。ここの数字は作例の仮定の値です。
- ガイドラインでは、荷主は荷待ち時間と荷役作業等の時間を把握することになっています。どこで待っているかが分かれば、受付の人を足す、フォークリフトを確保する、予約で到着をならす、のどれから手をつけるかを比べられます。
- 予約は、ここでは到着の集中をならすだけです。決まった時刻に着くように割り当てれば、待ちはさらに減るはずですが、この記事では計算していません。
- 計算していないもの:受付の手続きの中身、運転手の歩き、構内の車の流れ、待機場が埋まった時に構内に入れないこと(このモデルでは止めない)、予約の時刻どおりに着かないこと、休憩、費用。



