ビルの3階の保育所のモデルから始める(無料登録)か、自分の図面を描いてください。保育所の保育室には、床面積に対して決まった割合の採光が要ります。数えるのは窓の面積そのものではなく、窓の外がどれだけ開けているか(採光補正係数)を掛けた面積です。ビルの中の階では、隣の敷地との間の距離や、上に何階あるかで、同じ窓でも答えが大きく変わります。この記事では、模擬のビルの3階の保育所で、保育室の窓が足りるかを、AIに確かめてもらいました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。
1. 決まり
- 割合。 保育所の保育室は、採光に有効な部分の面積が、床面積の5分の1以上要ります(建築基準法第28条第1項、施行令第19条第2項第1号・第3項の表)。床面で200ルクス以上の照度を確保できる照明設備を設けると、7分の1になります(昭和55年建設省告示第1800号。平成30年の改正で、保育所の保育室は床面の照度で見るようになりました。国土交通省の技術的助言 国住指第4672号)。
- 係数。 採光に有効な部分の面積は、窓ごとの面積×採光補正係数の合計です(施行令第20条)。係数は、窓の真上にある建物の部分から隣地境界線(道路に面する窓は道路の反対側の境界線)までの水平距離Dを、その部分から窓の中心までの垂直距離Hで割った値から出します。住居系の地域は6×D/H−1.4、近隣商業・商業地域は10×D/H−1。道路に面する窓は1.0より小さければ1.0、面しない窓はDが7 m(商業系は4 m)以上なら1.0、それより近くて負なら0。上限は3.0です。
- 床面積。 建築基準法の床面積は、壁の中心線で囲まれた部分の面積です(施行令第2条第1項第3号)。
2. やったこと
- モデルは、定員38名のビルの3階の保育所です(保育所をビルの3階にの記事と同じ)。保育室は3つ:北の外壁に面したほふく室(0・1歳児)と2歳児室には、幅1.8 m・高さ1.4 mの窓が1つずつ。南の外壁に面した3〜5歳児室には2つ。窓の下端は床から0.9 m、中心は1.6 mです。
- 描いてあるのはこの階だけで、敷地も上の階もありません。そこでAIは、窓ごとにDとHを渡して、
check_spaceのdaylightで確かめました(敷地を描いていない階では、すべての窓にDとHを渡します)。 - 建物のまわりは仮定です。北は、外壁から隣地境界線まで1 m。南は、外壁から0.5 m離れて幅6 mの道路があり、Dは道路の反対側までの6.5 m。階高3 m、屋上の手すり壁(パラペット)1 m。Hは(3−1.6)+上の階の数×3+1で、3階が最上階なら2.4 m、上に1階あると5.4 m、上に3階あると11.4 mです。
- 用途地域は、近隣商業・商業地域(商業系)と、住居系の2通りです。
- 道具は、区画(壁の内側)を壁の中心線まで広げた床面積の5分の1と比べます。7分の1とはAIが比べました。ほふく室は区画35.64 m²・壁芯37.19 m²(要る面積は5分の1で7.44 m²、7分の1で5.31 m²)、2歳児室は27.00 m²・28.31 m²(5.66 m²、4.04 m²)、3〜5歳児室は50.40 m²・52.64 m²(10.53 m²、7.52 m²)です。
3. 窓の係数と、足りるか
採光に有効な部分の面積と、壁芯の床面積の5分の1に足りるか(7分の1なら照明が要る)です。
| 上の階 | 用途地域 | 北の窓の係数 | ほふく室 | 2歳児室 | 南の窓の係数 | 3〜5歳児室 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| なし(最上階) | 商業系 | 3.0 | 7.56 m²(5分の1) | 7.56 m²(5分の1) | 3.0 | 15.12 m²(5分の1) |
| なし(最上階) | 住居系 | 1.1 | 2.77 m²(足りない) | 2.77 m²(足りない) | 3.0 | 15.12 m²(5分の1) |
| 1階 | 商業系 | 0.85 | 2.15 m²(足りない) | 2.15 m²(足りない) | 3.0 | 15.12 m²(5分の1) |
| 1階 | 住居系 | 0 | 0 m²(足りない) | 0 m²(足りない) | 3.0 | 15.12 m²(5分の1) |
| 3階 | 商業系 | 0 | 0 m²(足りない) | 0 m²(足りない) | 3.0 | 15.12 m²(5分の1) |
| 3階 | 住居系 | 0 | 0 m²(足りない) | 0 m²(足りない) | 2.02 | 10.19 m²(7分の1) |
- 北の窓は、上の階が増えるほど係数が下がります。 隣地境界線まで1 mのまま、Hが2.4 m、5.4 m、11.4 mと大きくなるので、商業系では3.0、0.85、0、住居系では1.1、0、0。最上階でも住居系なら1.1で、ほふく室は2.77 m²と、7分の1の5.31 m²にも届きません。
- 係数が0の窓は、いくら大きくしても数えられません。 Dが1 mで、商業系の4 m・住居系の7 mに届かず、式の値が負になるからです。
- 南の窓は道路に面するので、係数は1.0を下回りません。 Dが6.5 mあり、ほとんどの場合3.0です。ただ住居系で上に3階あると2.02で、10.19 m²。区画の広さの5分の1(10.08 m²)なら足りますが、床面積は壁芯で測るので、その5分の1(10.53 m²)には届かず、7分の1(照明)なら足ります。床面積をどこで測るかで答えが変わる境目です。
4. 北の窓を広げる
上に1階ある商業系の建物(北の窓の係数0.85)で、AIは北の2つの窓を部屋の真ん中に広げ(edit_space)、もう一度確かめました。窓の高さとD・Hは変わらないので、係数は0.85のままです。
| 目標 | ほふく室の窓 | 有効な面積 | 2歳児室の窓 | 有効な面積 |
|---|---|---|---|---|
| 7分の1(照明が要る) | 幅4.5 m | 5.37 m²(要るのは5.31 m²) | 幅3.4 m | 4.05 m²(4.04 m²) |
| 5分の1 | 幅6.3 m | 7.51 m²(7.44 m²) | 幅4.8 m | 5.72 m²(5.66 m²) |
- 5分の1には、部屋の幅(6.6 mと5.0 m)のほとんどを窓にすることになります。7分の1でも、1.8 mの窓の2.5倍と1.9倍の幅です。
- どちらの変更でも、
check_spaceの指摘は0件のままでした。 - 上に3階ある建物や、住居系で上に1階ある建物では係数が0なので、窓を広げても足りません。保育室を道路の側に置き、北の部屋を調理室や事務室にするなど、部屋の並べ方から考えます。
5. AIへの頼み方
ビルの3階の保育所です。北は外壁から隣地境界線まで1 m、南は外壁から0.5 m離れて幅6 mの道路です。上に1階あり、階高3 m、パラペット1 m、近隣商業地域です。保育室の採光が足りるかを確かめてください。足りなければ、北の窓をどれだけ広げればよいか教えてください。
6. 確かめていないこと
- 照明で7分の1にするには、床面で200ルクス以上の照度を確保できる照明設備が要ります。道具は照度を計算しません。
- DとHは仮定です。実際は配置図と断面図から測ります。上の階のバルコニーやひさし(半透明のものを除く)が窓の上に出ていれば、そこからのD/Hのほうが小さくなり、係数が下がります。
- 公園・広場・川に面する窓(その幅の半分だけ境界線の外側から測る)、特定行政庁が規則で指定した区域の係数(平成15年国土交通省告示第303号第1号)、一体的に使う2室を1室として数える扱い(同第2号)は、渡していません。
- 小規模保育事業所は保育所ではなく、建築基準法でどう扱うかは特定行政庁によって違います(大阪府は、小規模保育施設の用途の部分が100 m²を超えるものを施行令第19条第1項の児童福祉施設等に含めて扱う。令和元年6月25日)。
- 最後は、建築主事や指定確認検査機関に確かめてください。



