アパレル店のモデルを開く(登録なしで開けます。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。靴下や小物のような、ついでに買う商品の台を、レジの列の横に置くか、入口に置くか。この記事では、模擬の2階建てのアパレル店で、AIが1階の「靴下・小物の台」4台を4つの場所に置き直し、同じ土曜のシナリオを走らせて、台が客の視野に入っていた時間と人数を比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。

1. 何を比べたか

靴下・小物の台は、幅0.9 m・奥行き0.4 m・高さ0.9 mの台が4台で、1列に並んで(長さ3.6 m)、いまはレジの列の柵のすぐ南にあります。AIは次のように比べました。

  • 置き直す:edit_space の1回の変更で、4台の列をそのまま(並び方は同じ)ほかの3つの場所へ動かします。どの場所でも check_space の指摘は0件でした(通路の幅や扉の前をふさいでいません)。
  • 走らせる:保存されている土曜のシナリオ(客は最初の1時間に1時間170人の割合で入り、全員が出るまで3時間)を、置き直した店でそのまま走らせます(run_process_scenario)。
  • 数える:get_visibility の attention で、4台を名指しして数えます。什器の記事と同じく、全部の面を0.7 mの高さで、客だけを、3秒ごとに(3時間を3,600回で)数えます。客は進む向きを見ていると仮定します(左右60°ずつ・上下60°・6 m以内)。結果の total が、4台のどれかの面が視野に入っていた客×秒(同じ時に何面が入っても1回)と、どれか1つの面でも視野に入れた客の数(1人は1回)を返します。

比べた4つの場所:

  • A. いま:レジの列の横。レジの列の柵のすぐ南。
  • B. 入口を入ってすぐ。自動ドアから4.3 m入った所で、入口の区画の北の端。
  • C. 上りエスカレーターの乗り口。乗り口の南、エスカレーターから0.2 m。
  • D. 西側の婦人服の台の間。コートのラックと、トップス・ニットの台の間。
1階:4台の列を置いて試した4つの場所
1階:4台の列を置いて試した4つの場所(模型の座標から描いた略図。Aはいまの場所)

2. 結果

置き場所客×秒視野に入れた客(168人のうち)1人あたり
A. いま:レジの列の横6,615117人(69.6%)57秒
B. 入口を入ってすぐ3,780168人(100%)23秒
C. 上りエスカレーターの乗り口3,306162人(96.4%)20秒
D. 西側の婦人服の台の間1,91759人(35.1%)32秒
靴下・小物の台4台が客の視野に入った時間と人数を、置く場所ごとに
置く場所ごとの、視野に入った客×秒と、視野に入れた客の数
  • A(いま)は、時間がいちばん長い。 1人あたり57秒で、BとCの2倍以上です。レジの列で待つ客の前にあるためです。ただし視野に入れた客は117人で、168人のうち7割です。この日、レジで払った客は90人でした。
  • B(入口)は、客の全員の視野に入る。 168人全員ですが、1人あたり23秒です。入口から入る客は、台のほうへ向かって歩いてきます。
  • C(エスカレーター)もほぼ全員(162人) で、1人あたり20秒です。
  • D(西の売場の奥)は、人数が少ない。 客の3人に1人ほど(59人)です。そこまで来た客には、1人あたり32秒とBやCより長く入ります。

3. 客の動きはほとんど変わらない

台は客が行き先にする場所ではないので、置き直しても変わるのは台のまわりの歩き方だけです。4つの場所のどれでも、客は168人が全員出て、レジで払ったのは90人、店にいた時間は平均17.0〜17.1分でした。そばにある新作の台2台が視野に入った客×秒も、いまの15,477に対して15,420〜15,642で、差は1.1%以内です。

4. 仮定を変えると

同じ4つの実行を、視線の仮定を変えて数え直しました。

置き場所60°:客×秒60°:客3 m:客×秒3 m:客
A. いま:レジの列の横2,757107人5,22989人
B. 入口を入ってすぐ2,181167人1,113156人
C. 上りエスカレーターの乗り口2,295155人2,034154人
D. 西側の婦人服の台の間1,45536人1,71935人
  • どの仮定でも、時間はAがいちばん長く、人数はBがいちばん多い。 人数の順(B・C・A・D)も変わりません。
  • 時間の2位から下は、仮定で入れ替わります。 60°ではCがBを抜きます(2,295と2,181)。3 mではBの時間が3割弱になり(3,780から1,113)、4つのうちいちばん短くなります。入口では、客は台を遠くから見ながら歩いてくるためです。Aは近くで待つ客が多いので、3 mでも8割(5,229)が残ります。
  • 客どうしで台が隠れるとして数えても(crowd:ほかの客を、体の大きさの柱として視線をさえぎるものにする)、どの場所の時間も1.3%以内しか減らず、時間と人数の順は変わりません。4台のどれかの面は見えているためで、面ごとに足した時間は最大3.3%減ります。

時間は「どこまで見えるか」の仮定で大きく変わります。人数の順のほうが、仮定によらず安定していました。

5. 使い方と、分からないこと

  • 何のための台かで選ぶ。 払う客に、待つ間に1つ足してもらう台ならA(レジの列の横)。来た客の全員に見せたい台(季節の小物や、キャンペーンの台)ならB(入口)かC(エスカレーター)。Dはどちらにも向きません。
  • 案を比べる。 同じように、台やラックを置き直した案で同じシナリオを走らせ、同じ仮定で数えれば、置き場所の案どうしを比べられます。

分からないこと:

  • 数えたのは「視野に入っていた時間と人数」です。実際に見たか、手に取ったか、買ったかは分かりません。
  • 台の場所で客の行き先や買う物は変わりません。シナリオの客は、台に引き寄せられて立ち寄ることはありません。
  • 客は首を回さず、進む向きを見ると仮定しています。客どうしの隠れは、4の最後の数え方(体の大きさの柱)だけで数えました。表と図は、客どうしの隠れを数えていません。
  • どの場所も1回の実行(決まった乱数)の結果です。

使った道具

  • edit_space:4台の列を、1回の変更でほかの場所へ動かす
  • check_space:置き直した場所で、通路や扉の前をふさいでいないかを確かめる
  • run_process_scenario:保存されている土曜のシナリオを、そのまま走らせる
  • get_visibility(attention):4台の面を合わせて、客の視野に入っていた時間と人数を数える