内科クリニックのモデルから始める(無料登録。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。予約なしで受け付けるクリニックでは、朝いちばんに患者さんが集まり、待合が混みます。発熱の患者さんを診る隔離診察室は1つしかなく、検査の結果を待つ間も部屋がふさがります。この記事では、模擬の内科クリニックで、AIが午前の外来のシナリオを書き、予約制、医師の数、発熱の患者さんの待ち方を変えて比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。
1. クリニックと午前の外来
模擬のクリニックは20 × 14 mです。正面入口から待合と受付・会計のカウンターに入り、廊下に診察室が3つと処置室・X線室があります。発熱の患者は東の別の入口から隔離待合(椅子3脚)に入り、隔離診察室で診察を受けます。医師はスタッフルームから隔離診察室に入ります。AIは get_space で、各診察室で患者が立つ場所(部屋の真ん中にいちばん近く、家具から35 cm離れた場所)と、受付カウンターの待合側の立ち位置を読み、次のシナリオを書きました(put_process_scenario)。
- 受付は9:00〜11:30です。一般の患者は1時間に平均10人です。予約なしの患者は好きな時刻に来ます(ランダムに、最初の1時間は1.5倍)。予約の患者は、午前を通して等間隔に来ます。
- 一般の患者は受付をし(1〜3分)、待合で空いた診察室を待ち(来た順)、診察室で医師を待ちます。診察は3〜15分(いちばん多いのは6分)で、カウンターで会計をして(1〜2分)帰ります。
- 発熱の患者は1時間に平均2人、ランダムに来ます。隔離待合の椅子が3脚ともふさがっていれば、外(車)で待ちます。隔離診察室が空くと、医師が防護具を着て(1〜2分)、診察と検体の採取をし(4〜10分、いちばん多いのは6分)、防護具を脱ぎます(1〜1.5分)。迅速検査の結果は15分後で、その間は隔離診察室で待ちます。医師が結果を伝え(2〜4分)、その場で会計をして(1〜2分)、発熱外来の入口から帰ります。
- 医師は2人で、空いた人が患者のところへ歩いて行きます(隔離診察室へはスタッフルームを通ります)。
- 乱数を変えて20回くり返し、午前の患者が全員帰るまで(16:00まで)を見ます。
看護師、検査、処置(点滴など)、X線は入れていません。予約の割合、医師の数、発熱の患者の数、結果を待つ場所、使う診察室の数は、シナリオのパラメータです。AIは sweep_process_parameters で、組み合わせごとに同じ乱数の20回を走らせます。
2. いまの外来で、どれだけ待つか
| 予約なし・医師2人(20回の平均) | 一般の患者 | 発熱の患者 |
|---|---|---|
| 午前に来た人 | 25.8人 | 5.3人 |
| 来院から帰るまで | 25.8分(95%区間 21.6〜30.1分) | 65.0分(95%区間 54.9〜75.1分) |
| 待合で診察室を待つ | 5.8分 | – |
| 隔離待合で隔離診察室を待つ | – | 30.8分 |
| 外(車)で椅子が空くのを待つ | – | 1.1分 |
最後の患者が帰るのは12:33です。待ちがどこで生まれるかは、医師と隔離診察室の時間を1時間で足すと分かります。
- 一般の患者1人の診察は平均8.0分です。発熱の患者は、防護具の着脱、診察と検体の採取、結果の説明で平均12.4分です。1時間に一般10人と発熱2人なら、医師の時間は1時間に104.8分で、2人の120分の87%です。
- ただ、予約なしの患者は最初の1時間に1.5倍来るので、その1時間は144.8分(121%)と、2人の時間を超えます。待合の列は朝にできます。
- 発熱の患者は、隔離診察室を1人あたり平均33.0分使っていました(診察と検体の採取、結果を待つ15分、結果の説明と会計)。1時間に診られるのは60 ÷ 33.0 = 1.8人で、2人来ると、隔離待合で30.8分待ちます。
3. 予約制にすると
| 予約の割合 | 医師2人:一般 | 医師2人:発熱 | 医師1人:一般 | 医師1人:発熱 |
|---|---|---|---|---|
| 0%(いま) | 25.8分 | 65.0分 | 83.1分 | 146.2分※ |
| 50% | 21.0分 | 64.1分 | 76.6分 | 146.3分※ |
| 100% | 14.0分 | 53.6分 | 56.5分 | 137.6分 |
数字は来院から帰るまでの時間(20回の平均)です。※は、20回のうち1回、16:00までに発熱の患者が全員は帰らなかった組み合わせで、帰った人の平均です。
- 医師2人なら、半分を予約にすると、一般の患者は4.8分短く(95%区間2.4〜7.3分)、全員を予約にすると11.8分短く(7.6〜16.1分)、14.0分になります。待合で診察室を待つのは0.0分です。朝の集中がなくなり、最初の1時間も医師の時間は87%です。
- 全員を予約にすると、発熱の患者も11.3分短くなります(6.3〜16.4分)。朝から医師に手が空くためです。半分の予約では、発熱の患者は差があるとは言えません(−0.9分、95%区間−3.7〜2.0分)。
- 医師1人では、全員を予約にしても、一般の患者は56.5分かかり、最後の患者が帰るのは14:07です。医師の時間が1時間に104.8分と、1人の60分を超えるためです。予約で朝の集中はなくせても、1時間に診る人数が医師の時間を超えていれば、待ちは残ります。
4. 発熱の患者が増えたら
| 発熱の患者(1時間) | 結果を隔離診察室で待つ | 結果を車で待つ |
|---|---|---|
| 1人 | 43.5分 | 40.1分 |
| 2人(いま) | 65.0分 | 51.5分 |
| 3人 | 99.4分 | 71.6分 |
| 4人 | 134.4分※ | 97.4分 |
数字は発熱の患者の来院から帰るまでの時間(20回の平均)です。結果を車で待つときは、採取のあと車に戻り、隔離診察室が空いたら呼ばれて戻ります。※は、20回のうち4回、16:00までに全員は帰らなかったので、帰った人の平均です。
- 結果を車で待ってもらうと、隔離診察室を使う時間が1人33.0分から21.0分になり、1時間に2人なら、発熱の患者は13.4分短くなります(95%区間8.8〜18.0分)。
- 1時間に3人なら、部屋で待つと最後の患者が帰るのは13:43、車で待つと12:18です。4人では、部屋で待つと20回のうち4回は16:00までに全員が帰らず、外(車)で椅子が空くのを待つ時間は、座れた人の平均で35.9分でした。車で待てば、どの回も全員が帰り(平均12:49)、外で待つのは6.6分です。
- そのかわり、医師が発熱の患者を早く診る分、一般の患者は少し長くなります(1時間に2人で1.7分、95%区間0.8〜2.6分)。
5. 診察室の数
- 医師2人で、使う診察室を3つから2つにすると、一般の患者は1.0分長くなり(95%区間0.6〜1.4分)、発熱の患者は5.6分短くなりました(2.7〜8.5分)。待合で診察室を待つ時間は5.8分から9.5分に増えますが、診察室で医師を待つ人が減り、医師が隔離診察室に早く来るためです。
- 医師1人では、診察室3つで一般の患者は83.1分、2つで89.4分でした。
6. この数字の使い方
- 1時間に診る人数と1人の診察の時間を掛けて、医師の時間と比べてください。この記事のクリニックでは、予約なしだと最初の1時間に医師の時間の121%が集まり、待ちはそこから生まれていました。
- 1人にかかる時間と、時間帯ごとの患者の数は、受付の記録(受付と会計の時刻)や電子カルテから分かります。予約の取り方(時間帯ごとの枠の数、予約外の受付)に合わせて、AIにシナリオを書いてもらえます。
- 計算していないもの:看護師と検査技師の人数、処置(点滴など)・X線・検査の待ち、急患、キャンセル、医師が診察室に座って待つ運用(ここでは空いた医師が患者のところへ歩いて行く)、売上。
- 歯科医院の予約の間隔とユニットの数は、歯科医院の待ち時間の記事で比べています。



