歯科医院のモデルから始める(無料登録。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。予約の時刻に来てもらっても、患者さんは待合で待ち、ユニットに座ってからも歯科医師を待つことがあります。どこで、どれだけ待つかは、予約の間隔、ユニットと歯科医師の数、1人にかかる時間で決まります。この記事では、ユニット5台の模擬の歯科医院で、AIが午前の予約のシナリオを書き、条件を変えて比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。

1. 医院と午前の予約

模擬の医院は16 × 9 mのテナントです。北側に診療ユニットが5台、通り側に入口と受付・会計のカウンターと待合があり、奥にスタッフルームがあります。AIは get_space でユニット(西から1〜5)と受付カウンターの位置を読み、次のシナリオを書きました(put_process_scenario)。

  • 予約は9:00〜12:00で、ユニット1台に30分ごとに1人です(5台で6分おきに1人、30人)。
  • 患者は予約の時刻の前後10分のどこかに来て、カウンターの待合側で受付をし(45〜120秒)、待合で空いたユニットを待ちます(来た順)。
  • ユニットで助手が案内と準備をします(3〜7分)。4割は予防(メインテナンス)の患者で、歯科衛生士のクリーニング(15〜25分)のあと、歯科医師が確認します(2〜5分)。6割は治療の患者で、歯科医師が治療します(6〜30分、いちばん多いのは15分)。
  • 歯科医師は2人で、空いた人がそのユニットへ歩いて行きます。ユニットで歯科医師を待つ時間には、歩いて来るまでを含みます。
  • 片付け(2〜5分)でユニットが空き、患者は同じカウンターで会計をして(1〜3分)帰ります。
  • 乱数を変えて20回くり返します。

歯科衛生士と助手は足りているものとしました。待ちが生まれるのは、ユニット・歯科医師・受付の3つです。予約の間隔、歯科医師の数、予防の患者の割合、来る時刻のずれ、治療のいちばん多い長さは、シナリオのパラメータにしました。AIは sweep_process_parameters で、組み合わせごとに同じ乱数の20回を走らせます。

患者と歯科医師が歩いた経路
シミュレーションの1回目で、患者30人と歯科医師2人が歩いた経路(色は1人ずつ)

2. いまの予約で、どれだけ待つか

30分枠・歯科医師2人(30人)20回の平均
待合で空いたユニットを待つ9.4分(95%区間 7.0〜11.7分)
ユニットで歯科医師を待つ4.6分
受付・会計で待つ0.5分
待合でいちばん長く待った人(各回)26.6分
待合で同時に待つ人(各回の最多)4.6人
最後の患者が帰る時刻12:50

最後の予約は11:54で、その枠は12:24までですが、最後の患者が帰るのは12:50です。なぜ待つのかは、1人にかかる時間を1時間の予約の人数で足すと分かります。

  • 1人がユニットを使う時間は、平均28.1分です(準備5分、治療17分かクリーニング20分と確認3.5分、片付け3.5分)。30分枠なら1時間に10人で、ユニットは5台の300分のうち281分(94%)ふさがります。
  • 歯科医師の時間は、1人平均11.6分です(治療の患者は17分、予防の患者は確認の3.5分)。1時間に116分で、2人の120分の97%です。
  • どちらも9割を超えていて、少しの遅れを取り戻せずに、待ちが積み上がります。ユニットで歯科医師を待つ間もユニットはふさがるので、シミュレーションで1人がユニットを使っていた時間(ユニットへ向かってから片付けまで)は平均32.8分と、30分枠を超えていました。

3. 歯科医師の数と予約の間隔

患者1人が待つ時間と場所
主な案ごとの、待合とユニットで待つ時間(患者1人あたり、20回の平均)
予約の間隔(人数)歯科医師1人2人3人
20分(45人)×××
30分(30人)×9.4+4.62.8+0.7
45分(20人)×0.1+1.70.0+0.2
60分(15人)0.6+14.60.0+0.60.0+0.1

数字は、患者1人が待合で待つ分と、ユニットで歯科医師を待つ分です(20回の平均)。×は、14:00までに全員が帰らなかった回がある組み合わせです(20回のうち、20分枠で1人なら20回、2人で19回、3人で2回、30分枠で1人なら20回、45分枠で1人なら2回)。

  • 歯科医師を3人にすると、待合2.8分とユニット0.7分で、最後の患者は12:35に帰ります。待合の待ちは6.5分短くなります(95%区間4.7〜8.4分)。歯科医師の時間が3人の180分の64%になり、ユニットで歯科医師を待たなくなるので、ユニットも早く空きます。
  • 45分枠なら、2人でほとんど待ちません(待合0.1分、ユニット1.7分)。ユニットは62%、歯科医師は64%しか使わないためです。そのかわり、予約は30人から20人に減ります。
  • 歯科医師1人では、60分枠(15人)でも、ユニットで14.6分待ちます。歯科医師の時間が1時間に58分で、1人の60分の97%だからです。待ちが、待合からユニットに移るだけです。
  • 20分枠(45人)は、3人でも回りません。1時間に15人で、ユニットの時間が15人 × 28.1分 = 421.5分と、5台の300分を超えます。歯科医師を増やしても、ユニットが足りません。

4. 予防(メインテナンス)の患者を増やすと

予防の患者1人あたりのユニットの時間歯科医師の時間歯科医師2人3人
20%26.8分14.3分14.8+9.22.4+1.4
40%(いま)28.1分11.6分9.4+4.62.8+0.7
60%29.4分8.9分6.5+2.13.4+0.3
  • 2人では、予防の患者が多いほど待ちが短くなります。60%なら待合の待ちが2.9分短く(95%区間1.4〜4.4分)、歯科医師の時間は1時間に89分(2人の74%)です。20%では歯科医師の時間が1時間に143分と2人の120分を超え、最後の患者が帰るのは13:09です。
  • 3人では逆に、予防の患者が多いほど待合の待ちがわずかに長くなります(40%と比べて、20%で0.5分短く、60%で0.6分長い)。歯科医師には余裕があり、クリーニングでユニットを長く使う分(60%で1時間に294分、5台の98%)が効くためです。
  • 予防の患者を増やすなら、歯科医師の数より先に、ユニットと歯科衛生士が足りるかを確かめてください。

5. 来る時刻のずれと、治療の長さ

条件待合ユニット最後の患者が帰る
全員が予約の時刻ちょうどに来る8.6分4.6分12:49
前後10分(いま)9.4分4.6分12:50
前後20分10.4分4.8分12:54
治療のいちばん多い長さが10分6.0分3.6分12:42
15分(いま)9.4分4.6分12:50
20分13.4分5.5分13:00
  • 来る時刻のずれは、待ちをあまり変えません。いまとの差は−0.7分と1.0分で、どちらも差があるとは言えません(95%区間は−2.0〜0.6分と−0.3〜2.4分)。
  • 治療の長さは効きます。いちばん多い長さを5分短くすると(治療の平均は17分から15.3分)、待合の待ちは3.3分短く(95%区間2.5〜4.2分)、5分長くすると4.0分長くなりました(3.3〜4.7分)。ユニットも歯科医師も9割前後使われているので、1人の時間の少しの差が、待ちを大きく変えます。

6. この数字の使い方

  • 予約の間隔を決める前に、1人あたりのユニットの時間と歯科医師の時間に1時間の予約の人数を掛けて、ユニットの台数と歯科医師の人数の1時間と比べてください。この医院の30分枠・2人では、ユニット94%、歯科医師97%でした。
  • 1人にかかる時間は、予約表と診療の記録(ユニットに案内した時刻、会計の時刻)から分かります。治療の内容ごとの長さと、予防の患者の割合をAIに伝えてください。シナリオは、自分の医院の予約の組み方(ユニットごとの予約、時間帯ごとの人数)に合わせてAIに書いてもらえます。
  • 計算していないもの:急患と予約外の来院、キャンセル、歯科衛生士と助手の人数(足りているものとしました)、決まったユニットへの予約(ここでは来た順に空いたユニットへ)、X線の撮影、売上。
  • ユニットを6台目に増やすなら、まず間取りの記事のように入るかどうかを確かめてから、シナリオに6台目を足して比べてください。