調剤薬局のモデルから始める(無料登録。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。となりのクリニックの午前の診療が終わるころ、処方箋が一度に届き、待合が混みます。待ち時間は、薬剤師の人数と、1枚の処方箋にかかる時間、だれが何をするかで決まります。この記事では、模擬の調剤薬局で、AIが午前の薬局のシナリオを書き、薬剤師の人数と、薬剤師以外の人による薬の取り揃えを変えて比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。

1. 薬局と午前の処方箋

模擬の薬局は96 m²で、入口・待合と市販薬の棚、投薬カウンター、その奥にカウンター内と調剤室・在庫室があります。AIは get_space で投薬カウンター(患者さんが立つ待合側の位置)を読み、次のシナリオを書きました(put_process_scenario)。

  • 9:00〜13:00に、処方箋を持った患者さんがランダムに来ます。1時間に平均8枚、11:30〜12:30は2倍です(20回の平均で39.8枚)。
  • カウンターで事務員が処方箋を受け取って入力し(1〜3分)、患者さんは待合で待ちます。
  • 薬の取り揃え(1〜10分、いちばん多いのは3分)は、薬剤師がします。1割の処方箋は、散剤・水剤・軟膏を量って混ぜる作業もあり(3〜12分、いちばん多いのは5分)、これは薬剤師しかできません。
  • 薬剤師が監査し(0.5〜1.5分)、カウンターで服薬指導をして(1〜6分、いちばん多いのは2分)、事務員が会計をします(0.5〜1.5分)。
  • 薬剤師は2人、事務員は1人です。乱数を変えて20回くり返します。

薬局で調剤に従事する薬剤師の数は、1日平均の処方箋の数を40で割った数(1に満たなければ1、端数は1に切り上げ)以上と決まっています(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令 第1条第2号。眼科・耳鼻咽喉科・歯科の処方箋は3分の2として数える)。この薬局は、午後も午前と同じなら1日に約80枚で、80 ÷ 40 = 2人です。

薬剤師の人数、取り揃えをだれがするか(薬剤師、補助員、空いている人)、混ぜる処方箋の割合、処方箋の数は、シナリオのパラメータです。AIは sweep_process_parameters で、組み合わせごとに同じ乱数の20回を走らせます。

2. いまの薬局で、どれだけ待つか

薬局にいる時間
人の配置ごとの、患者さんが来局から帰るまでの時間(20回の平均)

薬剤師2人では、患者さんが来局から帰るまでの時間は平均30.2分です(95%区間24.0〜36.4分)。

  • 1枚の処方箋にかかる薬剤師の時間は、平均9.3分です(取り揃え4.7分、混ぜる作業6.7分×1割、監査1.0分、服薬指導3.0分)。1時間に8枚なら74.7分で、2人の120分の62%です。
  • ところが昼前の1時間は16枚で149.3分と、2人の時間(120分)を超えます。この1時間に、待ちが積み上がります。

3. 薬剤師の人数と、取り揃えをだれがするか

2019年の厚生労働省の通知(「調剤業務のあり方について」、薬生総発0402第1号)で、薬剤師の指示のもと、薬剤師の目が届く場所で、薬剤師以外の人がPTPシートのままの薬を必要な量だけ取り揃えることができると整理されました。最終的な確認(監査)は薬剤師がし、散剤・水剤・軟膏を量って混ぜることは薬剤師以外はできません。手順書と研修も求められています。

人の配置来局から帰るまでいまとの差
薬剤師2人(いま)30.2分–
薬剤師3人17.6分−12.6分(95%区間 −17.1〜−8.1分)
薬剤師2人+補助員1人:空いている人が取り揃え17.9分−12.3分(−16.9〜−7.8分)
薬剤師2人+補助員1人:取り揃えは補助員がすべて25.8分−4.5分(−6.9〜−2.1分)
薬剤師1人+補助員1人:取り揃えは補助員がすべて29.9分−0.3分(−1.8〜1.2分)
薬剤師1人93.4分※63.1分(47.5〜78.8分)

※20回のうち14回は、15:00までに全員が帰らなかったので、帰った人の平均です。

  • 補助員が1人いて、取り揃えを空いている人がすると、薬剤師2人でも3人とほぼ同じ17.9分です。薬剤師は監査・服薬指導・混ぜる作業に回れます。
  • 取り揃えを補助員だけに任せると25.8分で、空いている人がするほど短くなりません。昼前には補助員が取り揃えの列の先頭になります(取り揃えを待つ時間は平均11.0分)。
  • 薬剤師1人でも、補助員が取り揃えをすべてすれば29.9分で、薬剤師2人とのちがいは誤差の範囲です。薬剤師1人だけだと93.4分です。

4. 混ぜる処方箋の割合

混ぜる処方箋薬剤師2人薬剤師2人+補助員(空いている人が取り揃え)
0%25.6分16.5分
10%(いま)30.2分17.9分
30%40.1分21.6分

散剤・水剤・軟膏の多い処方箋(小児科・皮膚科の近くの薬局など)では、混ぜる作業は薬剤師しかできないので、薬剤師の時間が増えます。補助員がいても、30%なら21.6分です。

5. 処方箋の数

1時間の処方箋(昼前は2倍)午前の枚数薬剤師2人薬剤師3人
6枚30.2枚20.2分14.8分
8枚(いま)39.8枚30.2分17.6分
10枚49.6枚40.4分20.4分

6. この数字の使い方

  • 時間帯ごとの処方箋の枚数は、レセコンの受付時刻から分かります。取り揃え・監査・服薬指導の時間は、自分の薬局で測った値をAIに伝えてください。
  • 補助員に取り揃えを任せるときは、通知の範囲(薬剤師の指示と目が届く場所、PTPシートのままの薬、薬剤師の監査)と、手順書・研修を守ってください。この記事は、通知の範囲の作業を時間で比べたもので、法令の判断ではありません。
  • 計算していないもの:処方内容の疑義照会(医師への問い合わせ)、在庫がない薬の取り寄せ、一包化、電話や在宅の業務、薬剤師の休憩、売上。