避難所になる体育館のモデルから始める(無料登録。シミュレーションを動かすにはProが要ります)。内閣府の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)は、スフィア基準に沿って、1人当たり最低3.5 ㎡の居住スペースと、トイレを発災後初期段階では50人に1基、中期段階では20人に1基とし、女性用と男性用の割合を3:1とするよう求めています。「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(同)は、トイレの平均的な使用回数を1日5回とし、各避難所でトイレの待ち時間に留意するよう書いています。この記事では、模擬の学校の体育館で、AIがフロアに入る人数とトイレの数を数え、朝のトイレの列をシミュレーションで比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。

1. 体育館に何人入るか

模擬の体育館は32.5 × 32.5 mで、北側にステージと器具庫2室、真ん中に32 × 20 mのフロア、南側の廊下に更衣室2室・玄関ホール・女子トイレ(個室4)・男子トイレ(個室2・小便器3)・多目的トイレがあります。

AIは check_space の1人当たりの床面積(areaPerPerson)で、フロアの640 m²に1人3.5 m²なら182人と数えました。ステージ・器具庫・廊下は数えていません。通路をとる配置では、居住スペースに使える面積はこれより小さくなります(段ボールベッドと通路で並べたレイアウト図は「避難所のレイアウト図をAIで描く」)。

2. トイレは何基か

182人なら、指針の数は次のとおりです(女性用と男性用を3:1に分け、それぞれ切り上げ)。

段階避難者 ÷ 1基の人数女性用男性用
発災後初期(50人に1基)3.643基1基
中期(20人に1基)9.17基3基

ガイドラインの計算は、施設のトイレの個室(洋式便器で携帯トイレを使う)と災害用トイレを合わせた数で、バリアフリートイレはその数に含めません。この体育館の個室は女性用4・男性用2の6室で、初期の4基には足ります。中期の10基には、仮設トイレを女性用3・男性用1足すことになります。

1日5回なら、182人で1日910回、1回3.7分として1日55.6時間分の使用です。初期の4基では、1基あたり1日13.9時間使われます。

3. 朝のトイレの列

朝のトイレの列で待つ時間
避難者182人が6:00〜9:00に1人1回トイレへ行く時の、女性と男性の列で待つ平均の時間(トイレの数と分け方ごと、20回の平均)

AIは、次の朝のシナリオを書きました(put_process_scenario。数字は仮定の値です)。

  • 避難者182人(女性と男性が91人ずつ)が、6:00〜9:00に1人1回(1日5回のうちの1回)トイレへ行きます。行く時刻は1人ずつ不規則に決まり、6:30〜7:30はほかの時間の2倍の割合です。
  • フロアから女子トイレか男子トイレへ歩き、空いた個室を1本の列で待ち、2〜6分(いちばん多いのは3分)使って戻ります。仮設トイレも同じ列に数えます(校庭まで歩く時間は入れていません)。

トイレの数を変えて、sweep_process_parameters で同じ乱数の20回を走らせました。列で待つ時間(平均・いちばん長く待った人)と、列がいちばん長い時の人数:

女性用平均いちばん長い列の人数
2基10.0分26.0分14.5人
3基1.2分6.8分5.9人
4基0.3分3.2分3.6人
5基0.1分1.5分2.3人
7基0.0分0.3分0.5人
男性用平均いちばん長い列の人数
1基87.3分158.3分44.1人
2基13.3分31.0分17.6人
3基1.9分8.0分7.0人
5基0.1分1.6分2.6人
  • 初期の4基を3:1(女性用3・男性用1)にすると、女性は平均1.2分ですが、男性は平均87.3分、いちばん長く待った人は158.3分並びます。
  • 同じ4基を半々にすると、女性10.0分・男性13.3分です。女性用と男性用は同じ条件ですが、行く時刻のくじが違うので、20回の平均でも差が出ます。
  • 体育館の個室6室(女性用4・男性用2)なら、女性0.3分・男性13.3分です。
  • 中期の10基(女性用7・男性用3)なら、女性0.0分・男性1.9分です。
  • この仮定では、女性も男性も91人で、6:30〜7:30はそれぞれ2.8基分の使用が続きます。4基を3:1に分けると、男性用1基に2.8基分の使用が集まります。

4. 女性の使う時間が長いと

女性の1回の時間が1.5倍(3〜9分、いちばん多いのは4.5分)なら、女性用トイレの列は次のようになります(男性用は2基のまま)。

女性用時間が同じ時間が1.5倍
3基1.2分9.7分
4基0.3分2.2分
5基0.1分0.5分
7基0.0分0.1分

指針は、女性用トイレの数を男性用よりも多くするよう求めています。女性の時間が長いほど、女性用を多くする分け方で待ちがそろいます。

5. この数字の使い方

  • 避難者の数(女性と男性、子どもと高齢者)、朝の時間帯ごとにトイレへ行く人の数、1回の時間(携帯トイレの扱いを含む)を、自分の避難所の値でAIに伝えてください。ここの時間と使う人の集まり方は仮定の値です。
  • 指針の数は確保の目安です。待ち時間は、使う人が集まる時間帯で決まります。朝や消灯前の集まり方を見て、仮設トイレを足す数と、男女の分け方を決めてください。
  • 計算していないもの:夜間、子どもや高齢者・障害のある人(多目的トイレ)、トイレの清掃と携帯トイレの処理、仮設トイレまでの歩く時間と天候・照明、断水や下水の被害、トイレを我慢することによる健康への影響。