スーパーのモデルを開く(登録なしで開けます)。AEDは、店の入口の近くに1台あれば足りるのでしょうか。日本救急医療財団のガイドラインは、心停止から5分以内に電気ショックができるよう、現場から片道1分以内の密度で置くことを求めています。この記事では、模擬のスーパーで、売場とバックヤードのどの点からでもAEDまで何メートル歩くかを、AIがMCPで呼ぶのと同じ道具で確かめました。以下の数字と図は、すべてその結果です。
1. ガイドラインが求めること
AEDの適正配置に関するガイドライン(一般財団法人日本救急医療財団、平成30年12月25日の補訂版)は、施設の中での置き方として、次のことを挙げています(表3)。
- 心停止から5分以内に電気ショックが可能な配置。現場から片道1分以内の密度で置く。高層ビルなどではエレベーターや階段の近く、広い工場などでは、通報でAEDの管理者が現場に直行する体制や、自転車などの移動手段も考える。
- 分かりやすい場所(入口付近、普段から目に入る場所、多くの人が通る場所、目立つ看板)。
- 誰もがアクセスできる(カギをかけない、あるいはガードマンなど、常に使用できる人がいる)。
- 心停止のリスクがある場所(運動場や体育館など)の近く。
- AEDの配置場所の周知(施設案内図へのAED配置図の表示など)。
- 壊れにくく、管理しやすい環境。
ガイドラインは、一般の人が心停止を目撃してから119番通報までに2〜3分かかるという研究も挙げています。また、デパート・スーパーマーケット・飲食店などを含む大規模な商業施設で、1日5,000人以上が利用する施設(常時、成人が250名以上いる規模が目安)には、複数のAEDを計画的に置くことが望ましいとしています。
2. 1分は何メートルか
ガイドラインの1分は時間で、距離ではありません。この記事では、歩く速さを毎分60 m(毎秒1 m)と仮定し、片道1分を60 mとしました。建物の避難の計算(令和2年国土交通省告示第510号、階避難安全検証法)が、百貨店・展示場などの階段以外の部分で、人の歩く速さに使う値です。急げばもっと速く、混んでいればもっと遅くなります。
3. 店と測り方
模擬のスーパーは96 × 62 mの平屋です。南の入口から入ると、レジ・セルフレジ・サービスカウンターの先に売場があり、北の壁の向こうに、荷受場・倉庫・冷蔵室・加工室・事務所・休憩室・パン工房と、それらをつなぐバックヤードの通路があります。売場とバックヤードは、スイングドアと従業員扉でつながっています。
AIは、売場とバックヤードをそれぞれ1つの区画にして、check_space の walkingDistance で、区画のどの点からでも、壁・棚・ケース・レジなどを回り、扉を通ってAEDまで歩く、いちばん短い道のりを測りました。返ってくるのは、いちばん遠い点とその道のり(誤差の幅つき)と、その経路です。この道具は、居室から階段までの歩行距離(建築基準法施行令第120条)を測るためのもので、行き先に階段の代わりにAEDを渡しました。結果に付く上限の値は階段のためのものなので、使っていません。測るための区画は、測ったあとで外しました。
4. サービスカウンターに1台
入口の近くのサービスカウンターの横に、AEDを1台置きました(edit_space の1回の変更。check_space の指摘は0件)。
| どこから | いちばん遠い点 | AEDまで歩く道のり | 毎分60 mで | 直線なら |
|---|---|---|---|---|
| 売場 | 乳製品・日配の北西の隅(牛乳と卵のケースの角) | 71.45 m | 71秒 | 61.27 m |
| バックヤード | パン工房の北東の隅(小麦粉の袋の横) | 77.35 m | 77秒 | 70.26 m |
どちらも60 mを超えます。売場の奥の隅からは、直線なら61.27 mでも、棚の列を回ると71.45 mです。
5. 2台目を売場の奥に
2台目を、売場とバックヤードの境にあるメインのスイングドアの横(売場の側の壁)に置きました(指摘は0件)。
| 置き方 | 売場のいちばん遠い点から | バックヤードのいちばん遠い点から |
|---|---|---|
| サービスカウンターの1台 | 71.45 m(71秒) | 77.35 m(77秒) |
| 奥のスイングドアの横の1台 | 79.36 m(79秒) | 50.35 m(50秒) |
| 2台 | 58.66 m(59秒) | 50.35 m(50秒) |
- 奥の1台だけにすると、店の南西の隅から79.36 mで、今度は売場が届きません。
- 2台なら、売場のいちばん遠い点(西の壁ぎわの冷蔵ケースの前)からサービスカウンターまで58.66 m、バックヤードのいちばん遠い点(北西の隅の、段ボールの圧縮機の横)から奥のAEDまで50.35 mで、どこからでも60 m以内です。
- 棚やケースを回らず、壁や柱など動かないものだけを回って測ると、売場は52.36 mです。棚の列を回る分、6 mほど長くなります。
6. 置く場所のほかの条件
- 誰もが使えるか。 奥のAEDは売場の側の壁に付けたので、客も店員も使えます。バックヤードの通路の中に付けると、客からは見えません。
- 分かりやすいか。 サービスカウンターは入口の近くで、いつも人がいます。奥のAEDには、売場から見える看板が要ります。
- 配置図。 上の平面図は、売場とバックヤードのいちばん遠い点から、どのAEDまで何メートルかを示します。施設案内図にAEDの場所を描くときの下図にも使えます。
7. 使い方と、分からないこと
- 速さは仮定。 毎分60 mで、1分を60 mとしました。表の道のりを、自分の店で見込む速さで割ってください。
- 見ていないもの。 心停止が起きやすい場所、AEDの収納ボックスの高さと表示、看板が見えるか、夜に閉まる扉、AEDを持って戻る時間、119番通報や胸骨圧迫の手順は確かめていません。
- 道のりは図面から。 経路は、描いた棚や壁を回るいちばん短い道のりで、誤差の幅は売場が0.21 m、バックヤードが0.11 mです。現地では、通路に置いた台車や品出しの箱がふさいでいないかを確かめてください。
- ガイドラインは目安。 置く場所と密度の目安を示すもので、どこに何台置くかは施設が決めます。
使った道具
edit_space:AEDを置く。測るための区画を足し、外す(1回の変更ずつ)check_space:置いたあとに問題がないか。売場とバックヤードのどの点からでもAEDまで歩く道のり(walkingDistance)get_view_image:いちばん遠い点からの経路を平面図に描く(routes)



