事務所ビルのモデルから始める(無料登録)か、自分の図面を描いてください。小さな事務所ビルでも、階の居室が広いと、直通階段が2つ要ることがあります。線の近くでは、床面積をどう測るかで答えが変わります。この記事では、模擬の3階建ての事務所ビルで、階ごとの居室の床面積を、壁の内側(区画)と壁の中心線(壁芯)の両方でAIに読んでもらい、施行令の線と比べました。AIがMCPで呼ぶのと同じ道具を動かしました。以下の数字と図は、すべてその結果です。

1. 施行令が求めること

建築基準法施行令第121条は、避難階以外の階が次に当たるとき、その階から避難階か地上に通ずる2つ以上の直通階段を求めます。事務所は、第1号〜第5号の用途(劇場・物販店舗・ホテル・病院など)に当たらないので、第6号で決まります。

  • 5階以下の階(第6号ロ)。 その階の居室の床面積の合計が、避難階の直上階は200 m²、そのほかの階は100 m²を超えるもの。
  • 6階以上の階(第6号イ)。 居室があれば、原則として2つ以上(居室が100 m²以下で、避難上有効なバルコニーなどと決まった構造の直通階段があるものを除く)。
  • 構造で線が2倍(第2項)。 主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら、200 m²は400 m²、100 m²は200 m²です。
  • 床面積(施行令第2条第1項第3号)。 部屋の床面積は、壁の内側ではなく、まわりの壁の中心線で囲まれた部分で測ります。

居室は、執務・作業・集会などのために継続的に使う室です(建築基準法第2条第4号)。AIは、事務室と会議室を居室として数え、階段ホール・トイレ・給湯室・廊下・書庫は数えませんでした。

2. 階ごとの居室と線

模擬の建物は、各階21 × 15 mの3階建てで、階段は1つです。どの階も、北側に階段・トイレ・給湯室、廊下をはさんで南側に事務室があります。給湯室の隣は、1階と2階は会議室、3階は書庫です。AIは check_space(部屋を両方で測る emergencyLighting)で、各部屋の広さを、区画(壁の内側)と壁芯の両方で読みました。

階居室区画壁芯線(準耐火構造など)線(それ以外)階段1つで足りるか
1階(避難階)事務室と会議室212.98 m²219.64 m²——第121条の対象外
2階(避難階の直上階)事務室と会議室212.98 m²219.64 m²400 m²200 m²準耐火構造などなら足りる。それ以外は2つ要る
3階事務室183.34 m²188.24 m²200 m²100 m²準耐火構造などなら足りる。それ以外は2つ要る

事務室は区画183.34 m²・壁芯188.24 m²、会議室は区画29.64 m²・壁芯31.40 m²です。3階の書庫(区画29.64 m²・壁芯31.40 m²)は物を置く室で、人がいて仕事をする室ではないので、居室に数えません。

  • 会議室の代わりに書庫を置いた3階の居室は壁芯で188.24 m²で、準耐火構造などの線200 m²以下になり、3階は階段1つで足ります。
  • 2階の219.64 m²も線の400 m²以下なので、主要構造部を準耐火構造など(この建物の自動火災報知設備の記事では耐火構造)とすれば、建物全体で階段は1つで足ります。
  • 準耐火構造などでなければ、2階は200 m²を、3階は100 m²を超え、どちらも2つ目の直通階段(屋外階段など)が要ります。
3階:モデルのまま
3階:居室は事務室183.34 m²だけ。北側の書庫は居室ではない

3. 3階を会議室にすると、階段が2つ要る

AIはモデルの写しで、3階の書庫・作業台・扉の名前を、2階と同じ会議室・会議テーブル・会議室の扉にしました(edit_space の1回の変更。check_space の指摘は0件)。

3階(会議室にした写し)区画壁芯
事務室183.34 m²188.24 m²
会議室29.64 m²31.40 m²
居室の合計212.98 m²219.64 m²
  • 居室の合計は壁芯で219.64 m²で、準耐火構造などの線200 m²も超え、3階は直通階段が2つ要ります。
  • 居室かどうかは、名前ではなく使い方で決まります。書庫でも、人がいて仕事をするなら居室です。

4. 会議室を残すなら:事務室の端を書庫に

3階に会議室を残すため、AIは写しで、事務室の東の端を間仕切りと扉で書庫にしました(edit_space の1回の変更)。幅1.6 mと2.1 mで試し、check_space の指摘はどちらも0件でした。

書庫の幅事務室(区画/壁芯)居室の合計(区画)居室の合計(壁芯)準耐火構造などで階段1つで足りるか
1.6 m168.21 m²/172.40 m²197.85 m²203.80 m²足りない(200 m²を超える)
2.1 m163.76 m²/167.88 m²193.40 m²199.28 m²足りる
  • 区画で測ると、1.6 m幅でも足りるように見えます。 居室の合計は区画で197.85 m²ですが、壁芯で測ると203.80 m²で200 m²を超え、階段は2つ要ります。
  • 2.1 m幅なら足ります。 居室の合計は壁芯で199.28 m²で、線まで0.72 m²しか余裕がありません。
3階:会議室を残し、事務室の端に書庫
会議室を残し、事務室の東の端2.1 mを書庫にして、居室の合計は壁芯199.28 m²

5. 使い方と、分からないこと

  • 壁芯で測る。 区画は壁の内側(内法)に描いています。道具は、部屋ごとにまわりの壁の中心線までの広さも返します。施行令の床面積は壁芯なので、線に近いときは壁芯の数で比べてください。
  • 見ていないもの。 2つの階段への経路の重複区間(第121条第3項)、避難階段の構造(第122条・第123条)、歩行距離(第120条)、消防法の避難器具は、この記事では確かめていません。
  • 判断するのは。 居室かどうか、構造、例外に当たるかは、設計者と建築確認の機関が判断します。AIの数字は、検討の下書きです。

使った道具

  • get_space:各階の階段と部屋を読む
  • check_space:各部屋の広さを区画と壁芯で読む(emergencyLighting)、変えたあとに問題がないか
  • edit_space:写しで3階の書庫を会議室にし、事務室の端を書庫にする(それぞれ1回の変更)
  • get_view_image:3階のモデルのままの平面図と、書庫を設けた平面図を描く